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3代目”山の神”神野大地、直伝!坂道の走り方Q&A

「坂道はきつくて苦手」「どうしてもペースが落ちてしまう」……。
そんな悩みを持つランナーは多いはずです。
そこで今回は、箱根駅伝で「3代目山の神」として知られている神野大地選手に、坂道の走り方のコツや練習方法について伺いました。
坂道ランニングが苦手な方でも実践できるポイントを、Q&A形式でわかりやすく解説します。

山の神としての経験

Q.坂道や山のコースを走ることの魅力はどこにありますか?

神野選手: 平坦な道を走るよりも、坂道を走り切った時の方が「頑張った」という達成感を強く感じられるのが魅力です。
マラソンもきつい時間を乗り越えた先に喜びがあるように、道が険しければ険しいほど、ゴールした時により感じやすくなります。 
 

Q.箱根駅伝の山登り区間で「三代目山の神」と呼ばれる走りを見せましたが、坂を得意にするために意識していたことはありますか? 

神野選手: 実は、大学時代に山登りのために特別な練習をしていたわけではありません。
他の区間を走る選手と同じように、日々自分の基礎的な走力を上げるトレーニングを積み重ねてきた結果です。

坂の基本 

Q.坂道ですぐにきつくなってしまうランナーが意識すべき基本は何ですか? 

神野選手: 足だけで頑張ろうとせず、「腕振り」に意識を向けることです。
脚がきつくなると一歩が出なくなりますが、腕をしっかり振れば人間の体は脚が必ず前に出るようになっています。僕も箱根の時はとにかく腕振りを意識していました。 

Q.姿勢やフォームで大切なポイントを教えてください

 神野選手:最も大切なのは「目線をまっすぐ前に向けること」です。
平地では目線をまっすぐ前に向けると、目線の先が20メートルほど先になります。
しかし、上りでそのままの角度だと顎が上がり、呼吸が苦しくなってしまいます。
逆に下を向きすぎるとストライドが小さくなり、進みにくくなります。 
 
坂道を走る時は、平地と同じ目線ではなく、斜面の角度に合わせて、5〜10メートル先を見るように意識してください。そうすることで正しい姿勢と推進力を維持できます。 

Q.ピッチ(歩数)や歩幅は意識して変えるべきでしょうか

神野選手:無理に変えようと意識しすぎない方がいいと思います。傾斜に合わせてスピードが落ちるのは自然なことなのです。無理に平地と同じように走ろうとすると、余計な力が入って、かえってエネルギーロスや心拍数上昇に繋がります。  

よくある失敗 

Q.市民ランナーがやりがちな「もったいない走り方」はありますか? 
神野選手:技術以前に、「坂道=きつい、嫌だ」という強いネガティブな気持ちがブレーキになっています。人間は嫌なものに向かっていくとき、身体がうまく反応しません。その結果、無意識に動きが小さくなったり、余計に力んでしまったりして、本来の走りができなくなります。まずは苦手意識を持ち過ぎないことが大切です! 
 
Q.苦手意識を克服するコツは? 
神野選手:「好き」にならなくてもいいので、「必要以上に嫌いにならない」ことが大切です。普段のジョギングコースに坂道をあえて入れたり、走り終わりに数本の坂ダッシュを取り入れたりして、坂に触れる時間を増やしましょう。それだけでも「練習してきたから大丈夫」という前向きな気持ちでレース当日を迎えられるようになれます。 
 

練習方法

Q.坂に強くなるためのおすすめのトレーニングは何ですか

神野選手:「坂ダッシュ」は非常におすすめです。
大人になって平地を全速力で走ると肉離れなどの怪我のリスクがありますが、上り坂なら全力で走ってもスピードが出すぎないため、怪我のリスクが低いまま心肺機能や足を追い込めます。
総力アップを狙うランナーにはメリットしかありません。 

レース攻略

Q.レース中に坂に差しかかった時、どう対処すべきですか

神野選手:日本のマラソン大会は基本的に42.195km平坦な道であることはありません。
マラソン大会には坂はつきものです。坂に差しかかった時に、その場で走り方やタイムなどを考えるのではなく、坂でタイムが落ちることを想定し、あらかじめ余裕を持ったマネジメントをしておきましょう。
ただ、坂道で落ちたタイムを考え過ぎずに「目標タイムの中でどう走るか」を考えれば大丈夫です。 

Q.具体的なペース配分のアドバイスはありますか?

神野選手:例えば400m程度の坂なら1kmあたり10秒ほど落ちるのが普通です。その10秒が嫌なら、それまでの20kmで10秒の貯金を作ればいい。ただし、貯金を作ろうと無理しすぎて坂の手前で疲れてしまわないよう、自分の総力に見合った目標を立てることが大切です。 

Q.「下り坂」を走る時のコツはありますか

神野選手:上り坂で遅れた分をすべて下りで取り返せるほどペースは上がりません。
下り坂では、ペースを無理に戻そうとはせず、平坦な道でのリズムをもう一度を作ることを意識しましょう。
下り坂を超えた後の再びいいリズムで走れるように備える感覚が大事です。  

Q.強いランナーと一般的なランナーでは、坂の走り方にどんな差がありますか?(上級者向け)

神野選手:エリート選手は心肺(呼吸)がきつくなってペースを落としますが、市民ランナーの場合は先に「脚」が動かなくなってしまうことが多いです。
そのため、エリート選手はフォームを維持したまま走れるのに対し、市民ランナーは動きが小さくなりやすい傾向があります。
ゆっくりなら登れるけれど脚にきてしまう、という差は、日々の練習の積み重ねや筋力の違いにあります。 

最後に、これから坂道ランに挑戦するランナーへ 

嫌なものと向き合う時間は苦痛だと思います。しかし、日常の練習に坂道を取り入れることで、走力アップに直結します。それだけではなく、坂道をポジティブに捉えられるようになれば、マラソン大会での走りも変わり、前向きに望めるようになります。ぜひ、日々のランニングに坂道という『スパイス』を積極的に加えてみてください! 

EDITOR編集者

RUNNEW 編集部

陸上専門メディアサイト

RUNNEW(ランニュー)は、トラック競技からマラソン、駅伝まで、陸上競技の魅力を深く掘り下げる専門メディアです。陸上を愛するすべての人に、新しい発見と感動を共有します。

SUPERVISOR監修者

神野 大地さん

MABPマーヴェリック / プレイングマネージャー

MABPマーヴェリック所属 1993年愛知県津島市出身のプロランナー。中京大学附属中京高校、青山学院大学卒業。 2015年箱根駅伝では5区(山登り)で区間新記録を樹立し、チームの初優勝に貢献。「3代目山の神」と称される。2019年アジアマラソン選手権優勝。マラソン自己ベストは2時間9分34秒。現在はM&Aベストパートナーズ陸上部MABPマーヴェリック(https://mabp-maverick.jp/) の選手兼監督として、「陸上界に新しい道を切り拓く」を理念にニューイヤー駅伝優勝を目指す。